第一回目のフィールドワークは築地・新富町エリアです。このエリアは築地市場があることでよくご存知の方も多いと思います。フィールドワークではユニークな視点で、新たな街の魅力を発見していきます。
昔ながらの長屋がつくる街並み
「長屋」という昔からある住居形態をご存じですか?長屋はお隣さんと壁を共有し、別々の玄関をもつ細長い住居の事です。タウンハウスという呼び方もされるみたいです。最近では古い長屋は取り壊され、どんどん数が減少しています。しかしながら築地市場の近くを歩いていると、新しいマンションの間に点々と長屋が立ち並んでいるのが分かります。お隣同士と壁を共有しているため、ファサードの違いがパッチワークのような表情を生み出しています。
味わいのある住居
築地・新富町エリアでは長屋以外にも昔ながらの味わい深い住居がたくさん残っています。右の写真は木造の古民家です。荒々しい金沢の茶屋街といった風貌です。ベランダが新たに作りつけられているのが分かります。新しい木材と古い木材の色の違いが時の流れを感じさせてくれます。きっと補修しながら大切に住まわれきたのでしょう。風化して黒くなった木壁と、植栽のコントラストが趣深く感じられます。
独特な素材
右の写真は築地・新富町周辺の多くの住居に使われている金属です。金属の錆びが深みのある緑色を生み出しています。ひし形のパターンはまるで竜の鱗のようで、とても独創的です。長い年月をかけてこの色になったのかと想像すると、街の歴史を象徴するような金属壁なのではないでしょうか。もともとはどんな色の金属壁だったのか、とても気になります。
長屋、独特な素材の進化系
こちらは今まで見たことのないようなファサードを持つ長屋です。歪んだ三角屋根の真ん中できれいにお家が分かれています。緑の金属壁で覆われた左半分の住居はだいぶ老朽化が進んでいるみたいです。この何ともユニークな住居、さぞかしお隣さん同士は仲が良いのではないでしょうか。こんな風に一見、見過ごしてしまいそうな建物もよく見てみると変なつくりをしていることは多いと思います。
路地に染みだす生活感
路地の魅力は何と言っても、染みだす生活感ではないでしょうか。路地は自分の敷地と公共空間のあいまいな空間です。路地には植栽や洗濯機、バケツ、梯子など数多くのモノが雑多に置かれています。この雑多な風景はマンション暮らしで生活感を表に出ることを許されない私にとって、とても豊かな住環境に映るのです。公共空間はこんな路地の使いこなされるべきだと思います。あくまで景観には気を付けながらも。。。
みなさんは、普段どのような視点で自分の住む街を見ていらっしゃいますか?ほんの少し視点を変えるだけで、表情豊かな街の姿が見えてくるでしょう。ご意見、ご感想をお待ちしております。