新着情報

最判H15.10.21 事案・争点

【事案のポイント】


Xは、東京都文京区に土地を所有していましたが、日本有数の不動産会社であるYから、サブリース事業の提案を受け、昭和63年12月、Xは、Yとの間で、【賃貸期間を15年間、敷金49億4350万円、賃料年額19億7740万円とし、3年ごとに10%の値上げをする】ことを約束する賃貸借予約契約書を交わした上で、建物を建築しました。
平成3年4月、Xは、Yと賃貸借予約契約書と同旨の賃貸借契約書を交わし、Yに対して建物を引き渡しました。その契約書には【賃料を、本件建物完成時から3年を経過するごとに10%を値上げする】旨の賃料自動増額特約と、【急激なインフレ、その他経済事情に著しい変動があった結果、値上げ率等が不相当になったときは、協議の上、値上げ率を変更できる】旨の調整条項が記載されていました。
YはXに対し、賃貸借契約通りの賃料を支払っていましたが、平成6年2月以降、オフィス賃料の相場の下落等を理由に、4回にわたり賃料減額の意思表示をし、約束した賃料よりも定額の賃料の支払いを続けました(鑑定結果によれば、適正賃料は平成6年4月時点で約定賃料の約50%、平成9年4月時点で約定賃料の35%でした)。
Xは、賃料増額特約が優先されると主張して、賃料自動増額特約により増加した賃料と、実際にYが支払った賃料との差額および遅延損害金を、敷金から充当し、Yに対して敷金の不足分を請求しました。これに対してYは、借地借家法32条1項に基づく賃料減額請求によって支払った賃料額が正当であることを確認するように求めました。

【争点のポイント】


①いわゆるサブリース契約は賃貸借契約なのかそれ以外の特殊な契約なのか
②賃貸借契約であるとしても、賃料自動増額特約が優先し借地借家法32条1項は適用されないのではないか。
③いわゆるサブリース契約の当事者が借地借家法32条1項に基づく賃料減額請求をした場合にその請求の当否及び相当賃料額を判断するために考慮すべき事情は何か。

参考
(借賃増減請求権)
第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

最新記事10件を表示

2025.08.11お知らせ
広告掲載のご案内
2025.08.04お知らせ
広告掲載のご案内
2025.07.21お知らせ
広告掲載のご案内
2025.07.15お知らせ
社名変更ならびにホームページURL変更のお知らせ
2025.07.14お知らせ
広告掲載のご案内
2025.07.07お知らせ
広告掲載のご案内
2025.06.30お知らせ
広告掲載のご案内
2025.06.23お知らせ
広告掲載のご案内
2025.06.16お知らせ
広告掲載のご案内
2025.06.09お知らせ
広告掲載のご案内