プロによる継続的なオフィスビル経営を実現する手段として生み出された「サブリース」。しかし、この概念も時代の流れと共に多種多様な意味を付加されていきます。本質であるもの、本質ではないものを見分けるために、サブリースの興隆について述べておきます。
【サブリースという言葉の興隆】
前コラムで触れたように、
「サブリース」の本質は転貸借契約になります。
そのポイントは次の2点に集約されます。
①オーナー様からオフィス物件を賃借し、継続的な賃料をお支払する。
②オフィスビル経営のノウハウを用いて物件を管理し、テナント様に転貸する。
しかしながら、1980年代のバブル成長期。不動産価格の高騰によって、特別なノウハウがなくとも、ただビルを持っているというだけで資産価値が増加する時代がありました。この時、多くの不動産管理・運営を主たる業務としない企業が、サブリースという運営方式に参入してくることになります。
このような時代の中で、「サブリース」に
「家賃保証」という意味を含ませて、使用する業者が多く現れてきました。オフィスビル管理・運営のプロではないサブリース業者が、オーナー様を獲得するために、
「家賃保証」という要素を特約で付け、これを前面に打ち出してきたという風潮が確かにあった様に思われます。
もちろん、高額の家賃が長期にわたって保証されるのであれば、オーナー様にとってこんなに良い話はありません。空室の悩みも、運営の煩わしさからも解放され、まさにオフィスビルは「財産」であると言えるでしょう。
実際に、バブル崩壊までは、「サブリース」はオーナー様、サブリース業者、テナント様三者が共に利益を得る「失敗しないビル経営の手法」であると持て囃されてきました。「サブリース」という言葉が最も注目されていた時代であったと言えます。
Point
- 「家賃保証」という要素は、サブリースにおける本質ではない。
- 「家賃保証」は、バブル期に、各サブリース業者とオーナー間の特約で盛んに契約された。