No.085　第四章～満室になるサブリース　市場調査・分析⑯～

【募集条件比較表⑦】

――ありがとうございます。これで募集条件比較表の項目について理解できました。ところで、先ほど、「保証金、賃料、管理費、更新料や償却費については、可能な限り成約情報に書き換えていく必要がある」とおっしゃられましたが、成約情報というのは具体的にはどういう情報のことでしょうか。

「成約情報というのは、その名の通り実際に契約が成立した段階での情報のことです。不動産業界においては、保証金、賃料などについては、物件広告の表示と実際の契約内容に差異があることはそう珍しいことではありません。ことに近年は当初の広告で表示されていた額よりも低い賃料で成約している例も多くあるため、物件広告に掲載されている情報はあくまで目安程度であると考えておくべきです。
そうすると、せっかく募集物件比較表を作成しても、その数値に不正確なものが混ざっているために戦力評価を誤る可能性が出てきます。それを防ぐためにも、物件広告上の数字を鵜呑みにせず、実際の成約情報を可能な限り調べ上げ、修正していく必要があるわけです。」

――お聞きしている限り、成約情報の入手は非常に困難である気がするのですが。

「下限賃料同様オーナーが入手しにくい情報であることは間違いありません。正確には、下限賃料はオーナーさえ教えてくれれば確認できますが、成約情報はオーナーとテナント間の契約内容であり、下限賃料よりも外部に出にくい情報であると言えます。
これらの情報は業者間でもなかなか出回るものではありませんから、それなりの情報網がなければ入手は不可能に近いと言えるでしょう。
当講座を熱心に読まれている読者の方に、この成約情報の入手方法も教えて差し上げたいところですが、こればかりは組織力、情報収集力を有する専門会社でないと難しいでしょう。もしそのような不動産会社にアテがあれば問い合わせてみるとよいでしょう。」