前述の通り、オフィスビルを地デジ対応にするには、屋上にUHFアンテナを建てるのが一般的な方法です。しかし具体的に必要な施工についてはビル1棟ごとに大きく異なるため、通信設備様では竣工図面と現地調査に基づき最適な改修のご提案を行っています。
お話によると、オフィスビルの地デジ改修における大きなポイントのひとつが、ビルの竣工時期によるものです。たとえば平成に開始したBS衛星放送は昭和に製造した機器に対応していないように、築年数によってビル内部の設備が大きく異なり、ケーブルなどの機器が地デジに対応していない場合があるそうです。
もうひとつのポイントは、建物の規模によるものです。オフィスビルでは電波を1本の共同アンテナで受信して各室に分配を行いますが、分配数が多いほど電波は減衰して画質が劣化するため、増幅させるためのブースター(増幅器)が必要になります。このように建物の大きさや規模によって、必要な機器の種類や台数が異なってくるのです。
ビル設備の現状は多種多様で、さまざまなケースがあります。通信設備様ではそれぞれの状況に応じて適切な改修方法に導きますので、ビルによっては工事を必要とせず、機器の調整だけで済んでしまう場合もあるそうです。とはいえ、このように綿密な個別対応をさせていただくなかでは、現時点でも発注から工事終了まで約1ヶ月を要しているそうです。アナログ放送の終了期限まで約1年半。現在テナント様が日常的にビルを使用して頂いているオーナー様にとって、決して余裕のあるものではありません。特に終了間際の駆け込み需要により、対応が間に合わない懸念もあり、その場合、テナント様の業務によっては支障を来すような混乱を招かないとも限りません。私たちPMとしても地デジ導入に関しては早急に現状把握を進め、通信設備様と連携しながら、積極的な啓蒙と働きかけを行っていこうと考えています。
>取材メモ
通信設備様は地デジの導入に関して、「今すぐに必要なもの」「将来的に必要なもの」「余裕があれば導入しても良いもの」のように、オーナー様のご予算に応じた段階的な改修にも対応されています。地デジ導入に関しては、来年にはスケジュール調整が困難になる可能性もありますので、なるべく早めに対応が進められるよう臨機応変な対応をしていきたいと思っています。
※本記事は2010年2月10日取材時点の情報を元に作成しております。
取材協力・情報提供:通信設備株式会社