「コミュニケーション」を源から-3-私はそれまで、お客様のところを訪問し、誰かと廊下ですれ違ったりエレベーターに同乗した際に、儀礼的な文句や会釈程度の挨拶だけで済ませていました。それを「今日はずいぶん暖かい春のような天気ですね」とか「そこの植え込みの花が一年振りに咲いていましたよ」など、何でもいいから声をかけるようにしてみたのです。
最初のうちは私が不自然だったこともあり、お客様も戸惑うような反応でしたが、私が私の言葉で話せるようになるにつれ、お客様のほうからも接してくださるようにもなりました。次第に内容は挨拶程度の会話から世間話になり、さらにはビルに関して気付いた情報やご要望なども積極的に話してくださるようになったのです。
例えば共用部の電球が突然切れたりすると、他の階のテナント様でも「あそこの電球切れてたよ」と教えてくださったりと、お客様ご自身は言わなくても別に困らないことについても、管理側が困るだろうという思いで些細なことでも気軽に話してくださるので、結果としてビル全体のメンテナンスに対する情報が増加し、先手を打った対応ができるようになりました。