設備に頼らない価値当初はオフィスビルにおいてマイナーな商品だった「温水洗浄式便座」がテレビCM等で認知度を高めて四半世紀が経ち、いま現在当社が管理運営するオフィスビルでは、温水洗浄式便座はデファクトスタンダードに到達したと言ってもいいと思います。
これは建物設備の進歩という点では良いことですが、標準設備となった時点で、付加価値を認められていたものが当たり前になってしまうという価値観のシフトを意味します。このように、単に設備のグレードアップだけでは存続できないオフィスビルの価値をどう維持していくのかということも、今後の課題として見つめていかなければなりません。
私の意見は、空間の価値を守り、強めることができるのは、「クレンリネス」の徹底にあると思います。印象に残っている飲食店を挙げてみるとその価値基準がおいしいメニューよりもなぜかキレイなトイレだったりすることがあります。それは飲食店がおいしい食事を提供するのは当たり前という価値観からくるもので、それは飲食店に限ったことではないと思います。キレイなトイレのオフィスビルという価値基準も実は大事なものだと思いますし、そもそもクレンリネスの度合いは、ビルを管理する側の姿勢を如実に表します。
リニューアルを行ったり新しいサービスを始めることができなくても、今できていることにさらに磨きをかけることで価値を高めることができるという意識を、私たちPMは持たなくてはいけません。