社会人になった当初、私はお客さまと接する際には、とにかく自分から話すこと、という思い込みがありました。私自身、人と話すのが好きでしたし、自分なりのトークに磨きをかけ、一番の武器にしようと考えていました。
ところが、半年が過ぎた頃、ある先輩から次のような問いかけをされました。
人間に、耳が2つあって口が1つなのはなぜか分かりますか?
当時の私には答えが見つかりませんでした。先輩が私に伝えたかったのは、口よりも数の多い耳を使って、話を聞くことがとても重要だ。ということです。それまで相手の話もよく聞かずに、状況が見えないまま一方通行な話を続けていた私にとって、先輩の言葉は大きな気づきとなり、それ以降お客さまとのコミュニケーションでは、相手を尊重して話をよく聞き、双方向な会話ができる状態をつくることを常に意識するようになりました。
PM業務でもオーナー様やテナント様へ、よりクオリティの高いサービスを提供するために、先ずお客さまの話を聞くことは当然のことですが、会話を通してさらに心が開けるような双方向な関係性を築き、その奥にある物事全体を観察するという意識は、先輩の一言が糧となっていて、今でも役立っています。